和モダン UI の設計原則 — 藍染・伝統色・現代的な余白
Kotsukotsu で採用した「和モダン UI」は、単に伝統色を使えばいいという話ではありません。伝統的な要素と現代的なタイポグラフィ・余白を、どう調和させるかがポイントです。今回は、この設計原則を他のプロダクトにも展開できる形で言語化します。
原則 1:色は「主色 + 3 補助色」で厳選する
Kotsukotsu では、藍染系 4 色(濃藍・藍鼠・淡藤・白練)だけで UI を構成しています。この「4 色縛り」は意図的です。色が多すぎると視覚的な情報量が増えて、静けさが失われます。4 色未満で運用できるかを、まず自問することをおすすめします。
- 濃藍(#1F2A44):主要ボタン・見出し
- 藍鼠(#616D89):補助テキスト・アイコン
- 淡藤(#BBBCDE):達成マーク・アクセント
- 白練(#F5F4EF):背景
原則 2:純黒・純白を使わない
デジタル UI のデフォルトは #000000 と #FFFFFF ですが、和モダンの雰囲気を出すには、これらを避けます。代わりに使うのは:
- 温かいオフブラック(#2B2A28):モニタで見たときの「金属的な冷たさ」を消す
- 白練(#F5F4EF):生成りの温かみを持つ背景色
これだけで、UI 全体の印象がぐっと和らぎます。
原則 3:余白を「和室の畳」のイメージで取る
和室の畳の目地は、規則的で余裕があります。UI の余白も、この感覚で取ります。Material Design のデフォルト(8px, 16px, 24px)よりも 1 段大きめに取ることが多いです。余白は、視覚的な休息を生むという意識で使います。
原則 4:タイポグラフィは日本語ファースト
多くの UI フレームワークは英語圏を前提にしています。line-height は 1.5 が推奨されますが、日本語は漢字とひらがなが混ざるので、1.7-1.8 くらい取った方が読みやすいです。フォントは、Hiragino Sans / Yu Gothic のようなヒューマニストな和文フォントを優先します。
原則 5:装飾は「型」から借りる、模倣ではない
和柄(千代紙・江戸小紋・藍染幾何)を UI にそのまま貼り付けると、「観光アプリ」のような雰囲気になってしまいます。代わりに、型の構造だけを借りて、モダンなグリッドに翻訳するのがコツです。Kotsukotsu の藍染グリッドは、藍染布の織り目の構造を、Material Design のカレンダーグリッドに翻訳した結果です。
原則 6:アニメーションは控えめに
派手なアニメーションは、和モダンの静けさと相性が悪いです。fade / slide などの控えめなトランジションを、200-300ms 程度で使います。バウンス・ロータリー・スケール変化のような激しいアニメは避けます。
まとめ
和モダン UI は、伝統的な要素を「そのまま貼り付ける」のではなく、「構造から借りて翻訳する」ことで実現できます。色を絞る、純黒純白を避ける、余白を大きく取る、日本語ファーストのタイポ、控えめなアニメーション — これらの原則を守れば、他のプロダクトでも和モダンな雰囲気を出せます。